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【感想】BEASTARS 2 板垣巴留【ネタバレ漫画レビュー】

 

「BEASTARS」2巻出ました。深いな、この作品!

動物が一緒に暮らしている学園。草食系も肉食系も同じ生活を送っています。それだからこそ起こってくる軋轢。オオカミながら弱者の側に立つレゴシ。学校を統べる”ビースター”という称号を狙うルイ。トラのビルなど演劇部はいろいろな問題をはらみながら、公演に向けて進んでいきます。 

 

なかなか読み応えのある2巻でした!

BEASTARS 2 (少年チャンピオン・コミックス)

演劇部役者長・アカシカのルイには熱い野望があった。来るべき新歓公演で、肉食獣と草食獣の共存共栄を高らかに謳い、英雄的地位“ビースタ―”へと駆け上がることだ。一方、レゴシはメスウサギのハルと出会った夜、捕食本能が暴発しかけたことで自己嫌悪に陥っていたが…!? 

 

ハイイロオオカミのレゴシが主人公です。彼は体は大きいのですがとても繊細で優しい性格です。肉食獣としての自分をうまく受け入れられていません。ときどきあふれ出てくる本能が彼を苦しめます。

 

 

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ドワーフ種メスウサギのハル。たった一人の園芸部で、校内ではビッチと言われて仲間外れにされています。レゴシは演劇部で裏方をやっています。園芸部に花をもらいに行ったらハルと会いました。この展開だとハルは誤解されていて、でも健気に頑張る女の子、という感じかと思いました。

 

でも、結果的にハルはビッチでした。個人的にはちょっとショックでしたね。

 

良くも悪くもハルはレゴシに影響を与えます。あるがままの自分を受け入れていくれるかもしれない。そして初めてオスとして扱われたこと。レゴシはハルにまた会いたい気持ちになります。

 

 

 

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ルイは草食系のアカシカ、演劇部の役者長です。本文読むまで演劇部の部長だと思っていました(「部長の言う通りよ」ってセリフがあります)。圧倒的な存在感を持つルイは、新入生歓迎公演で主演を2日間演じることになります。

 

 

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ルイは学園全体を統べる”ビースター”の称号を得ようと奮闘します。しかし草食系である彼が肉食系を含めて全ての上に立つことはかなりのストレスを抱えることにもなっています。

 

ルイは肉食系でありながら弱者の側に身を置くレゴシにいらだちを感じます。ルイが草食系でありながら肉食系を含めた動物全体の上に立つためには強靭な精神力が必要です。それでも時々感じる肉食と草食の圧倒的な肉体的な差を埋めきれないでいます。

 

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満身創痍で迎えた公演初日。ルイは迫真の演技で会場を魅了します。しかし負傷をおして限界まで無理をしていたため体がもたず、初日でダウンします。ルイは公演2日目を演じることはできませんでした。

 

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主役ルイがリタイアして、代役は肉食系のベンガルトラのビルになりました。玉突きでレゴシも主人公の敵役として舞台に立たなくてはいけなくなりました。もともと目立つことが苦手なレゴシには演劇部に入って4年、初めて舞台に立たされることになります。

 

同じ肉食系同士で、本能を抑えていることを自覚しています。しかしビルは肉食系であることを前面に出し、レゴシは弱者の側に立ってみんなと共存しようとします。

 

本番2日目、代役ビルと敵役レゴシは公演本番の最中に舞台上で激突します。結果はぜひ本編を見てみてください。 

 

1巻からなかなか読ませる作品です。動物種の違いから出てくるそれぞれの心理描写がなるほど納得いく感じです。これって動物世界に置き換えているけど、人間社会でも同じですよね。人種、宗教、経済格差、体の大小、障害や性格など、みんなどれ一つとして一緒ではありません。人間だとわかりづらいですが、動物の世界だと種類の差で見ただけで違いがはっきりわかります。

 

キャラクターも秀逸です。オオカミのレゴシは本当は強いけど弱くふるまうことに慣れている。そして本当の自分との間に差を感じている。シカのルイは逆に強く振舞っているけど草食で、肉食系にたいして獲物としての弱さを感じ取っている。ウサギのハルは現状を受け入れる強さとしたたかさを持っている。でも、だれも完璧じゃない。

 

トーリーもなかなか読ませます。演劇部の公演に向けてルイやレゴシをはじめとして部員がトラブルを起こします。2巻はようやく公演を終えることが出来ました。でもまだ1巻の部員のアルパカのテムが殺された事件が全く解決していません。犯人捜しの要素と個人の差を理解して成長していく心理描写のお話がミックスされて大変深みがあります。

 

他者とはなにか、種の違いとは何か、本能とは何か。恋愛、性欲そして尊敬と自尊心とは一体何か。種が違うとより一層お互いの違いが見えてきます。いろいろと考えさせられる作品です。そして今だに解けない謎が横たわっています。おすすめです。